保険・見直し

保険は無駄なのか。30〜40代子育て世帯が見直すべき保険と残すべき保障

板山 久美子

板山 久美子

FP2級|証券外務員一種・二種|生命保険募集代理人

お金の悩みの奥にある「本当の理由」に踏み込むFPライター。
銀行・証券・保険業界での実務経験7年半、金融ライター歴2年以上。
カウンセラー実務経験あり。

保険は無駄という言葉を目にすると、今払っている保険料をこのまま続けていいのか、ふと不安になりますよね。

なんとなく安心のために入った保険を見直すのは、案外こわいものです。

手をつけるのをためらう気持ちも、よく分かります。

ただ、保険がすべて無駄というわけではありません。

無駄になりやすいのは、貯蓄でどうにかできる範囲のことまで、保険で抱え込んでいるときです。

30代から40代は、教育費も住宅ローンも老後の準備も、いっぺんに肩にのしかかってくる時期です。

毎月の保険料が、その家計を静かに重くしていることは少なくありません。

金融の現場で働いていた頃、保険料を下げたいのに何から手をつければいいのか分からない、という声を本当によく聞きました。

この記事では、保険が無駄かどうかをどう見分けるか、どこから見直せばいいのか、そして何を残すべきなのかを、一緒に整理していきます。

なお、この記事は特定の保険商品をおすすめするものではありません。

この記事でわかること
  • 自分の家庭にとって、今の保険が本当に「必要なもの」か「無駄なもの」かを見分ける基準がわかる。
  • 国の制度や貯金をふまえて、民間保険で補うべき「本当に残すべき保障」の適正額がわかる。
  • いきなり解約して損をすることなく、固定費を賢く下げながら大切な保障だけを残す「正しい見直しの手順」が身につく。

保険が無駄かどうかは、何に備える保険かで決まる

保険が無駄かどうかは、何に備える保険かで決まる

保険が無駄と言われる背景には、いくつかの理由があります。

ただ、理由を並べただけでは、それが自分の家庭に当てはまるのかまでは見えてきません。

まずは、よく言われる理由から一つずつ見ていきましょう。

保険が無駄と言われる主な理由

保険が無駄と言われるとき、その多くは「国の制度で足りるから」「貯蓄でなんとかなるから」という話に関係しています。

理由だけを鵜呑みにして解約を決めるのではなく、自分の家庭ではどうか、という目線を持ちながら見ていくのが大事です。

無駄と言われる理由 確認すべきこと
健康保険証があり、医療費がもともと安くなっている それでも足りない部分がどれくらいあるか
貯蓄で対応できる 今ある貯金を減らしても生活が困らないか
保険料が高い その保険料でどんな保障がついているか、どんな時にいくら受け取れるか
使う機会が少ない 歳を重ねて使う機会が増えたとき、同じ保障にいくらかかるか
貯蓄型保険(お金が積み立てられていく保険)は、投資に比べてお金が増えにくいと言われる 保障がついている分だと考えると、その保険料は見合っているか

結局のところ、保険が無駄かどうかは、保険そのものではなく、その保険が守ってくれる出来事が自分の家庭にとって本当に必要かどうかで決まります。

保険が必要になるのは、貯蓄だけでは対応しにくいリスクがあるとき

保険が必要になるのは、貯蓄だけでは対応しにくいリスクがあるとき

保険がほんとうに力を発揮するのは、めったに起きないけれど、いざ起きたら家計が大きく傾くようなことに対してです。

たとえば入院費やちょっとした出費なら、貯金でしのげる家庭も多いはずです。

けれど、働き手が亡くなったり、長く働けなくなったり、子どもの教育費が足りなくなったりすると、貯金だけでは支えきれないことがあります。

特に子どもが独立するまでの間は、死亡保険(家族が亡くなったときにお金を受け取れる保険)の大切さがぐっと増します。

FPの視点でお伝えするなら、保険は「貯金で間に合うか、間に合わないか」で線を引く。

これだけで、もう半分は答えが出ています。

板山 久美子
板山 久美子

保険を「払ったお金を取り戻すもの」と考えると、損か得かで迷ってしまいますよね。

「家計が崩れるような大きな出来事だけを、外に預けておくもの」と考えると、わかりやすいです。

不安だから手放せない、という気持ちは自然な反応です。

ただ、その不安がどこから来ているのかを分けて見ると、判断に迷いません。

30代から40代の既婚・子育て世帯が保険を見直すべき理由

30代から40代の既婚・子育て世帯が保険を見直すべき理由

この年代は、教育費に住宅ローン、老後の準備までが一度に押し寄せてくる時期です。

保険料をそのままにしておくと、将来使いたいお金の余裕が気づかないうちに減っていきます。

教育費・住宅ローン・老後資金で固定費の重さが目立ちやすい

保険料は、一度契約すると固定費としてずっと続いていきます。

毎月の金額だけを見ると少なく感じますが、年間や10年の期間で見ると印象が大きく変わります。

実際にどれくらいの金額になるのか、毎月の保険料ごとに並べてみました。

毎月の保険料 年間保険料 10年総額 20年総額
1万円 12万円 120万円 240万円
2万円 24万円 240万円 480万円
3万円 36万円 360万円 720万円
4万円 48万円 480万円 960万円

こうして見ると、保険料の見直しは単なる節約ではないことが分かります。

教育費や住宅ローン、老後資金に回せるお金を、今のうちに取り戻す作業なんです。

共働きでも死亡保障が不要とは限らない

共働きの家庭でも、どちらかの収入がなくなれば、暮らしぶりが大きく変わることがあります。

住宅ローンや教育費、配偶者の働き方によって、その影響の大きさは家庭ごとに違います。

たとえば、収入の少ない方が働けなくなった場合と、収入の多い方が働けなくなった場合では、家計への影響はまったく違います。

住宅ローンに「団信」(団体信用生命保険という保険のことで、契約者が亡くなったときにローンの残りを保険会社が代わりに払ってくれる仕組み)がついているなら、ローンの残りに対する死亡保険は重複しているかもしれません。

ただ、団信が対象になるのは、ローンの残りだけです。

板山 久美子
板山 久美子

「団信入ってるから死亡保険いらない」、これSNSでもよく見るんですけど、それ半分だけ合ってます。

ローンが消えることと、暮らしが続くことって、別の話なんですよね。

保険は一部だけでなく全体を見て判断する

保険は一部だけでなく全体を見て判断する

保険を見直すとき、一部の保険だけをつまみ食いのように判断すると、全体のバランスが崩れてしまうことがあります。

医療保険だけ、貯蓄型保険だけ、と切り取るのではなく、死亡保険も医療保険もがん保険も貯蓄型保険も特約(保険にあとから付け加える追加の保障)も、まとめて並べて見ていきましょう。

見直しは「削っていい保険」と「残す保険」に分けるものではない

大事なのは、削っていい保険を探すことではありません。

一つひとつの保険が、今の自分の目的にちゃんと合っているかを確かめることです。

見直した結果、変える必要がなければ、そのままで大丈夫です。

ただ、結婚や出産、働き方の変化、健康状態の変化があったときは、その目的自体が変わっていることがあります。

板山 久美子
板山 久美子

一部だけ見て「これは削れる」って判断するの、実は一番怖いんです。

他の保険との重なりや抜けが、そこだけ見てても分からないから。

まずは手元の保険証券、全部並べてみてください。

その一つひとつが何のための保障か、自分だけで判断が難しいところも出てくると思います。

すべての保険に共通する判断フロー

どの保険も、まずは何のために入ったのかを思い出すところから始めてみましょう。

「結婚したときに勧められて」「子どもが生まれて不安になって」「営業の人にすすめられて、なんとなく」など、入ったきっかけは家庭ごとに様々です。

そのうえで、その目的が今も続いているのかを見ていきます。

子どもの年齢や収入の状況、住宅ローンがあるかどうかで、目的というのは少しずつ変わっていくものです。

目的が今も生きているなら、そのまま続けるか、むしろ保障を増やすことを考えます。

目的が変わっていたら、保障を減らす、「払済保険」(それ以上お金を払わずに、今までの分だけ保障を残す方法)にする、解約する、といった道を検討します。

増やす、減らす、やめる、このどれもが、それぞれの保険に個別に当てはまることがあります。

種類ごとに、何を確認して、どう判断が分かれるのかを並べてみました。

※ この表は横にスクロールできます ⇄
保険の種類 確認すべき目的 目的が続いている場合 目的が変わっている場合
死亡保険 誰の生活や教育費を助けるためか そのまま続ける、または保険金額を見直す 保険金額を減らす、払済にする、解約を検討する
医療保険 国の保障や貯金で足りない部分をカバーできているか そのまま続ける 保障の内容を調整する
貯蓄型保険 お金を積み立てることと保障、どちらが目的か 目的に合っていればそのまま続ける 積み立てたお金がどれくらい戻るかや、いつでも引き出せるかを確認して判断する
特約 具体的に使う場面があるか そのまま続ける 外すことを検討する

死亡保険をいくらにするか、という話は特に奥が深いので、別の記事でじっくり取り上げます。

ここでは、目的を確かめるという共通の流れの一部として、軽く触れる程度にしておきます。

保険が無駄か判断するために確認するポイント

保険が無駄か判断するために確認するポイント

ここまでの話をふまえて、実際に自分の保険を確かめる手順を見ていきましょう。

まずは、保障の中身を仕分けするところからです。

まずは保障内容を死亡・医療・がん・貯蓄・就業不能に分ける

保険証券(保険の内容が書かれた紙)を見るときは、商品名ではなく、何のための保障かで分けていきます。

ひとつの商品の中に、死亡のときの保障と、入院のときの保障と、お金を積み立てる仕組みが、ごちゃ混ぜになっていることもあります。

次のように分けてみると、その保険が何のためのものか、目的がはっきりしてきます。

  • 死亡したときに家族へお金を残す保障
  • 入院や手術に備える医療の保障
  • がんや大きな病気に備える保障
  • 働けなくなったときの収入減に備える保障
  • 教育費や老後のお金を貯める目的の保障
  • 先進医療(保険が使えない高額な治療)や女性特有の病気などの特約

この仕分けだけでも、自分の保険がだいたいどんな組み合わせなのかが見えてきます。

細かい判断は難しくても、大まかに整理しておくと、この先の話が読みやすくなります。

国の保障・会社の制度・貯金で足りない部分を計算する

健康保険の「高額療養費制度」(1か月の医療費が一定の金額を超えたとき、その分が戻ってくる国の仕組み)や、会社員なら「傷病手当金」(病気やケガで働けないときに、給料の一部がもらえる仕組み)が使えるかどうかを確かめます。

遺族年金(家族が亡くなったときに残された家族が受け取れる年金)の対象になるかも、家族構成によって変わってきます。

また、勤務先の団体保険や福利厚生を見てみたら、思っていたより手厚い備えがすでにあった、ということも珍しくありません。

生活防衛資金(急な出費があってもすぐに困らないように用意しておくお金)が何か月分あるかを確認して、そこで足りない部分だけを民間の保険で補う。

この順番だと、無駄なく組めます。

保険料を下げても家族を守る見直し手順

保険料を下げても家族を守る見直し手順

保険料を減らす方法は、解約だけではありません。

保障をちゃんと残しながら、負担だけを軽くする道もあります。

いきなり解約せず、特約・保険金額・払済保険から確認する

あわてて解約してしまうと、保障のない空白の期間ができてしまいます。

健康状態によっては、同じ条件では入り直せないこともあるので、ここは慎重にいきたいところです。

解約する前に検討できる方法を、いくつか並べてみました。

※ この表は横にスクロールできます ⇄

見直し方法 内容 向いているケース
特約を外す 不要な追加の保障だけ外す 保障が重なっている
保険金額を減らす 保険金額を下げて保険料を安くする 保障は残したいが負担が重い
払済保険にする これ以上保険料を払わずに、今までの分だけ保障を残す 貯蓄型保険をすぐ解約したくない
延長保険にする 保険期間を短くして保障を残す 一定期間だけ死亡保険を残したい
解約する 契約を終わらせる 保障の必要性が低く、他の方法で備えられる

特に貯蓄型保険や古い契約は、解約する前に、こうした選択肢をいくつか見比べてみると安心です。

例えばがん保険は、医療の進歩がとても早い分野です。

古い契約のままだと、今の治療法に対応していないこともあります。

保障を下げて残しつつ、新しい治療に対応した保険を別に追加する、という組み替え方もあります。

見直しは削る順番を決めると失敗しにくい

一度に全部を見直さなくても大丈夫です。

迷う保険は、いったん後回しにしてかまいません。

削る順番をあらかじめ決めておくと、迷ったときも足が止まりにくくなります。

  1. 毎月の保険料と1年間の保険料を確認する
  2. 保障の内容を種類別に分ける
  3. 国の保障と会社の制度を確認する
  4. 重なっている特約を外す
  5. 医療保険の保障額を調整する
  6. 貯蓄型保険は、積み立てたお金がどれくらい戻るかを確認する
  7. 死亡保険の必要な金額と期間を見直す
  8. 浮いた保険料の使い道を、教育費、住宅ローン、老後資金に振り分ける

この順番でたどっていくと、家族に必要な保障を残しながら、固定費を下げる判断ができます。

見直しというと、がん保険をやめる、死亡保険を減らす、といった「削る」方向にばかり目がいきがちです。

でも、同じ予算のなかでも、保障の配分を組み替えるだけで、削らずに済むこともあります。

日本の保険会社の商品だと組み方に限りがある場合もありますが、外国の保険会社や、複数の保険会社を扱う相談窓口なら、バランスを取りながら組み直せる幅が広がります。

板山 久美子
板山 久美子

見直しは、一人で全部を判断しなくても大丈夫です。

特約を外す、保険金額を減らす、払済保険にする。

選べる方法はいくつもありますが、どれが自分の家庭に合っているかは、保険の組み方や会社ごとの違いによっても変わってきます。

一度、専門家と一緒に、今の保険を並べて確認してみるのも一つの方法です。

保険が無駄かどうかに関するよくある質問

保険が無駄かどうかに関するよくある質問

ここまでの内容と関連する、よく寄せられる質問をまとめました。

掛け捨て保険は無駄ですか?

掛け捨て保険は、お金が積み立てられない分、少ない保険料で必要な保障を持てます。

無駄になるのは、その保障の中身が、実際に困ることと合っていないときです。

生命保険の積立(貯蓄型)は無駄ですか?

貯蓄型の生命保険は、保障とお金の積み立てを1つの商品にまとめている分、増える割合が投資に比べて見劣りすることがあります。

保障が目的なら掛け捨て型、お金を貯めるのが目的なら他の方法とも見比べる、という視点を持っておくと安心です。

貯蓄型保険は無駄な保険料になりますか?

途中で解約すると、払った保険料より少ない金額しか戻ってこないことがあります。

何年契約しているか、どれくらいお金が戻るかを確かめたうえで判断しましょう。

医療保険の掛け捨ては無駄ですか?

国の医療保険や高額療養費制度で足りない部分を助ける目的なら、掛け捨て型の医療保険にもちゃんと役割があります。

1日あたりの入院給付金が、実際に自分で払うお金よりずっと大きい場合は、見直す余地があります。

長年払っていた保険料は無駄になりますか?

保険を使わずに済んだとしても、その間ずっと安心して過ごせたのなら、保険は役割を果たしています。

損か得かだけで測ろうとすると、本当に必要な備えまで否定してしまうことがあります。

まとめ:保険は無駄かどうかではなく、家計に必要な保障だけ残すことが大切

保険を減らすことと、無防備になることは、まったく別ものです。

大切なのは、一部だけを切り取って損得を測ることではなく、保険全体が今の家計と目的に合っているかどうかです。

目的が続いている保険はそのまま続け、変わった保険は減らす、払済保険にする、解約するかを検討する。

それだけで、家族を守りながら家計の余力を作れます。

板山 久美子
板山 久美子

安心は数字だけでは測れません。

保険証券を全部並べて、それぞれ何のために入ったのかを確認する。

損か得かだけで判断すると、本当に必要な備えまで見失ってしまうことがあります。

※本記事は特定の保険商品の推奨を目的としたものではありません。

※記事内容は情報提供を目的としており、保険の加入・見直しにあたっては、公的機関や複数の専門家への相談も含めて、ご自身で判断してください。

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