レジで合計金額を見て、ちょっと身構える。
貯金残高を確認するのが、なんとなく怖い。
コンビニで買い物をするだけなのに、支払うときにモヤッとした感情が浮かぶ。
でも、その理由は自分でもよく分からない。
金融の現場で実務に携わっていた経験から言うと、この「理由の分からない不安」を抱えている人は、本当に多いです。
お金の漠然とした不安は、原因が特定できていないために起きるもので、大きく5つのタイプに分けられます。
この記事では、その5つを一つずつ見ながら、あなたの不安の正体を一緒に探していきます。
- 自分の「なんとなく不安」がどのタイプに近いかが分かり、不安の出どころが見えてくる。
- モヤモヤした不安を自分の言葉で説明できるようになり、正体不明の怖さが軽くなる。
- 自分のタイプに合った対処の一歩が分かり、不安をそのままにせず動けるようになる。
なぜ「漠然とした不安」は原因が分からないのか

お金の不安には、大きく2種類あります。
ひとつは、「教育費が足りるか心配」のように、何が心配かはっきりしている不安。
そしてもうひとつが、何が心配なのか自分でも分からないまま、ずっと心にひっかかっている不安です。
後者は、家計簿をつけても、貯金を増やしても、なぜかモヤモヤが晴れません。
何に対して不安なのかが見えていないので、手の打ちようがないのです。
これは、あなたの考えが甘いわけでも、心配性すぎるわけでもありません。
だからまずは、「私の不安はどこから来ているんだろう」を一緒に探すところから始めてみましょう。
お金の漠然とした不安、5つのタイプ

ここから、漠然とした不安の後ろに隠れている5つのパターンを紹介します。
ひとつだけに当てはまる人もいれば、いくつか重なっている人もいます。
「あ、これ私のことかも」と思いながら読んでみてください。
①親からの刷り込み型
お金の不安の入り口は、実は自分ではなく「親」だったりします。
お金に対する感覚は、育った家庭でほぼ決まると言っていいくらい、親から子へ受け継がれます。
これは私自身の話ですが、子どもの頃、家族でラーメン屋に行くと、いつも一番安いメニューを頼んでいました。
高いものを我慢していたというより、そもそも「高いものを選ぶ」という発想自体がなかったんです。
私の親も、買うならなるべく安いものというタイプで、気持ちよくお金を使う姿を見た記憶がほとんどありません。
貧乏だったわけではないんですが、高いものを選ぶという選択肢が、そもそも頭になかったんですよね。
大人になった今も、値段の高いものを選ぼうとすると、なぜか気が引ける。
もしそうなら、それは今のあなたの判断ではなく、育った家庭の金銭感覚がそのまま残っているだけかもしれません。
「これは私の性格ではなくて、親から受け継いだクセなんだ」と分かるだけで、自分を責める必要がなくなります。
②収支・ミニマムコスト不明型
お金の不安がいちばん大きくなるのは、「自分の家計が見えていない」ときです。
毎月いくら入ってきて、いくら出ていっているか。
これを正確に答えられる人は、実はそんなに多くありません。
FPの視点で見ると、この「なんとなくしか分かっていない」状態こそが、漠然とした不安の大きな原因です。
なににいくらかかっているかを知るのは、お金の安心のそもそもの大前提だと私は思っています。
もうひとつ、私がやってよかったのが、100歳までのキャッシュフロー表(将来の収入と支出を年ごとに書き出した表)です。
これを作ってから、将来への不安がすごく減りました。
「うちは最低これだけあれば回る」というラインが分かると、「これだけ入ってくれば大丈夫なんだ」と思えるようになるからです。
不安の正体は、お金が足りないことではなく、足りるかどうかが分からないことだったりします。
私は自分で作りましたが、FP相談で作ってもらうこともできます。
家計の数字が見えてきたら、次は「どこをどう軽くするか」です。
我慢せずに支出を見直す具体的な方法は、こちらの記事でお話ししています。
③老後不安型
「老後2000万円問題」という言葉を聞いてから、老後のお金が心配になった、という人は多いはずです。
ただ、この不安、具体的な金額を知らないまま抱えていませんか。
将来いくら必要かが分からないまま、なんとなく足りない気がする状態が続いているだけ、というケースがよくあります。
実は、老後に必要な金額は、家庭によって全然違います。
住まいが持ち家か賃貸か、年金がいくらもらえそうか。
そして意外と大きいのが、退職後にどんな暮らしをしたいかです。
旅行に行きまくりたい人と、家でのんびり過ごしたい人では、必要なお金がまったく違います。
「いくら必要か」って、結局その人が何をしたいか次第なんですよね。
「自分の場合はいくらか」を一度ざっくりでも出してみると、2000万円という数字に振り回されなくなります。
④幸せの基準が自分の外にある型
お金があれば安心できる、とはかぎりません。
お金の量と、安心感は、必ずしも比例しないからです。
私の周りにも、対照的な例があります。
お金には困っていなさそうなのに、いつもどこか苦しそうに見える人。
一方で、経済的には余裕がなさそうなのに、夫婦仲がよくて、幸せそうに見える人。
実際の内情までは分かりませんが、外から見えている姿として、この違いは確かにあります。
足るを知っている人って、金額が少なくても満たされて見えるんですよね。
「これだけあれば私は幸せ」という基準を自分の中に持っていないと、いくらお金があっても安心にたどり着けません。
基準が自分の外、つまり他人との比較や世間の平均にあると、いくら貯めても「もっと必要かも」が終わらないからです。
⑤情報に煽られる型
お金の不安をあおるようなニュースが毎日溢れていますよね。
でも、それだけ不安をあおるのには、からくりがあります。
テレビもネットも、「視聴者を安心させるより、不安にさせたほうが見てもらえる」というビジネスだからです。
「老後2000万円問題」のように、数字だけが独り歩きすることもあります。
不安になる情報のほうが目を引くし、記憶にも残ります。
つまり、あなたが毎日浴びている情報は、そもそも不安をあおるように作られているんです。
これを知っているだけで、不安なニュースを見ても、まともに受け止めすぎずにすみます。
不安になったときに、「あ、これは煽る作りになってるな」と一歩引いて見られるようになるからです。
自分がどのタイプか分かったら、次にやること

5つのタイプを見て、「これかも」と思うものはあったでしょうか。
ひとつに絞れなくても、大丈夫です。
不安の原因は、たいてい複数が絡み合っています。
親からのクセもあるし、家計も見えていないし、ニュースにも煽られている。
どれかひとつだけ、という人のほうが少ないくらいです。
だから、一番心当たりがあるものから、ひとつずつほどいていけば十分です。
タイプによって、次の一歩は少しずつ違います。
自分がどのタイプに近いか、そして次に何をすればいいか。
当てはまりやすい人の特徴と一緒に、下の表にまとめました。
| タイプ | こんな人 | 次の一歩 |
|---|---|---|
| 親からの刷り込み型 | 高いものを選ぶときに、理由もなく気が引ける | 「これは私の感覚ではなく、育った環境の影響」と切り分けてみる |
| 収支・ミニマムコスト不明型 | 毎月なににいくら使っているか、正確には分からない | 家計の数字を一度書き出してみる |
| 老後不安型 | 老後の必要額を、自分の場合で計算したことがない | 「自分の場合はいくら必要か」をざっくりでも出してみる |
| 幸せの基準が自分の外にある型 | 貯金があっても、まだ足りない気がする | 「私は何があれば満足なんだろう」を考えてみる |
| 情報に煽られる型 | ニュースやSNSを見るたびに不安が強くなる | 不安になる情報から意識して距離を取ってみる |
全部を一度にやる必要はありません。
どれかひとつ、気になったものから手をつければ十分です。
お金の漠然とした不安に関するよくある質問

お金の漠然とした不安について、よく聞かれる質問をまとめました。
漠然とした不安は、なくすことができますか。
完全にゼロにするというより、正体を知ることで、不安とうまく距離を取れるようになります。
「なんだ、これが原因だったのか」と分かるだけで、気持ちはだいぶ軽くなります。
複数のタイプに当てはまる場合はどうすればいいですか。
いくつか重なっているのは、珍しいことではありません。
一番心当たりが強いものから、ひとつずつ向き合ってみてください。
この不安は、家計簿をつければ解消しますか。
収支・ミニマムコスト不明型には、かなり効きます。
ただ、親からの刷り込み型や情報に煽られる型のように、数字ではなく捉え方が原因のタイプには、家計簿だけでは解消しません。
お金の不安で何も手につかないときは、どうすればいいですか。
まずは、不安を頭の中だけで抱えないことです。
紙でもスマホでも、今の収入と支出を書き出すだけで、ぼんやりした不安が具体的な数字に変わります。
何に不安だったのかが見えると、次に何をすればいいかも見えてきます。
貯金はそれなりにあるのに、不安が消えません。なぜですか。
お金の量と安心感は、必ずしも比例しないからです。
「これだけあれば大丈夫」という自分の基準がないと、いくら貯めても不安は残ります。
金額ではなく、自分にとっての「足りる」を決めることが先になります。
まとめ
「なんとなく不安」には、5つのタイプがありました。
親からの刷り込み型、収支・ミニマムコスト不明型、老後不安型、幸せの基準が自分の外にある型、情報に煽られる型です。
得体の知れない不安も、正体が分かればそこまで怖くありません。
今日から急いで何かを変える必要はありません。
まずは、「私の不安はどれに近いんだろう」と考えてみるところから始めてみてください。
